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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

作り手の姿勢がにじむ梱包

しばらくブログの更新ができずに申し訳ありませんでした。
実は人気の藤田佳三さんの「ワケあり配布会」という、
荻窪銀花の顧客様の特に藤田さんフリークのお客様へ催しがあり、
それが例年になく嵐のような数日間だったため、
すっかり間が空いてしましました。

藤田さんの器は、素地の土も、長石や木灰で調合する釉薬も天然の素材を使い、
一つずつロクロやタタラ作りで形を作り、絵付けして焼いています。
色合いや釉調、絵付けは一つずつになります。
そんな中で、少し歪みやキレなどが出たものや、
廃盤になったもの、一つだけ残ったものなど廃棄処分は勿体無く、
使うのにも支障はないものを貯めてるおいて送ってくださいます。

手仕事であり、しっかりと焼き切るの為に、
わずかに歪みが出たり、化粧土や釉薬のむらや切れなどが現れたりします。
厳しい選別をなさる藤田さんは、
当然ながら、それらをはじいてしまうのですが、
甘庵は焼き過ぎなくらいの方が好きで、
窯の中での変化が楽しくて感じるているもらっています。
甘庵自身が藤田フリークなため贔屓目が勝ちすぎて、
何がいけなくてワケあり値引品なのかという、
お客様のお問い合わせにこ答えできない仕上がりです。

本来ならそんなワケあり配布会を、
少しでもご紹介できればと思っていましたが、
その隙もなく終了してしましました。

でも同時にご紹介したいのが、
藤田佳三さんが器を送ってくださる時の毎回の梱包です。
藤田さんの作り手としての姿勢が、
良く表れていて橋渡しとしても見習うべきことと、
感じ入っています。

機会があれがご覧になれる器や、
「ワケあり品」から伺える仕事への厳しさだけではなく、
お客様には全くご覧になるチャンスのない、
できたものを委ね送るという作業の中に、
滲み出している真摯な姿勢だと思います。

20fujita_0235.jpg
箱のサイズに合わせた古新聞布団です。


梱包状態のことなので、
なかなかお伝えしにくいところなのですが、
一つの例として「古新聞布団」があります。
甘庵が勝手にそう言っているだけですが、
器の座りがいいように、
周りから圧力を受けないようにと、
真綿にくるむ・・・ではなく、
古新聞にくるむ状態で届きます。
新聞紙はかなりの良質パルプなので、
クッション材、衝撃緩衝材としては、
実に信頼の置ける素材です。

20fujita_0237.jpg
そこにも座布団のように敷き込んであります。

銀花からお送りする時にも、
藤田さんを見習って、
古新聞や広告を梱包紙でくるんで、
小さは紙布団をよく使います。
お客様へお送りするには多少見てくれが落ちて、
ゴミも多くなってしまうのですが、
器をお送りする安全度が上がるので、
発送メール等にご了承いただき一文を添えて、
荻窪銀花標準梱包になっております。

                甘庵
 

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他にない丸さに惹かれるポット

シリーズで作り手のことをお話ししてみようと思います。
甘庵の偏った目からのことなので、
内容の責任はご本人ではなく甘庵が受けもってのお話しです。

20_kato_0215.jpg
加藤財 ポット 黒丸 13,200円
容積500cc


今日は美しい急須やポットを作る加藤財さんのお話です。
画像でご紹介しているような丸いポットは、
色々な方が作っていて色々あると思うのですが、
たくさんの中にあっても手に取ると直ぐに、
加藤財さんの急須やポットとわかるところが凄いです。

特別な、あるいは奇を衒う形ではなく、
ただ丸いだけなのに加藤さんの急須やポットには、
えも言われぬ心惹かれるものがあります。

20_kato_0216.jpg

加藤さんか今の形の急須やポットを生み出した時を、
リアルタイムで見て来た甘庵が感じていることがあります。
それは加藤さんの「こだわり」とも言える器への好みと、
ご本人の真面目すぎる性格があると思います。

大まかにお伝えすると、
焼締(施釉せずに焼き締める器の総称)が好き。
軽いものが好き>薄造りになる=無駄がない。
歪みなく隅々まで端正な作りが好き。
造形としての丸みを大切にしている。

20_kato_0217.jpg

初めて出会った時にすでに急須を専門に作られていました。
造形は今と変わらず端正でしたが丸さより焼に気持ちが傾いていて、
薪窯で焼かれた美しい自然釉がかかっていました。
ただそれゆえに蓋が開かなかったり、歪みが起きたと、
歩留まり(完成率)がメチャクチャ低い状態でした。

甘庵としては急須としての出来が素晴らしいので、
まずはガス窯や灯油窯できっちり焼いたもので、
多くの人に使って欲しいと強くお話ししました。
窯変や自然釉の急須はそのあとのスペシャルバージョンに・・・と。

20_kato_0218.jpg

二年ぐらいかな、全く音沙汰がなくなり、
どうしたのかと心配した頃に再訪してくれました。
その間に、作陶生活を大きく左右することがいくつか起こっていました。
まずは当時の情勢らしく薪窯を設置していた住居の引越しを迫られ、
新しい工房兼住居に移り同じ頃に灯油窯を手に入れ、
全く違うアプローチでの急須作りの再スタートでした。

結果としてびっくりするくらいの完成度の急須を持って現れました。
薪窯の見せる魅力的な焼きの表情を失った分を十二分にカバーする、
いえそれ以上に魅力的な造形と土味の急須でした。

薪窯より変形や歪みが出ない姿からは、
計算通りの水切れの良さや、
ピッタリと収まる蓋の印籠が楽しめました。

窯変に変わる魅力として生まれた表情が、
調整された土味や、
無駄のない軽やかな作りや、
丸みが基本のえも言われぬ美しい造形でした。

               甘庵
 

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