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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

秘伝の釉薬調合

釉薬(うわぐすり)は、藁(わら)や木を燃やした灰や、
長石や石灰などの鉱物などを調合してつくります。
色薬の時には、そこに酸化金属を添加していきます。

鉱物だけでで調合した釉薬は、
含有する各要素が安定しているために、
焼き上がりの色合いや、安定した性能を得られます。

藁灰や木灰のような植物の灰が加えて調合された釉薬は、
窯の焼き方や雰囲気で、表情が変わったり、
色合いも安定しにくいですが、
やきものとして柔らかな表情が得られると思います。

極端にいえば、堅牢で、製品として安定していることに、
主眼がおかれている建物などで使うタイルや、
洗面器のようなせっ器の釉薬は、
表情が無機質で堅い感覚になってしまいますが、
安定した釉薬を作るために、鉱物質の材料で作られます。
型に鋳込んで作られる量産の食器も仕方ないことですが、
それに近い部分をもっています。

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荻窪銀花で扱う“うつわ”の、ほとんどの釉薬は、
植物を焼いた灰を加えて調合されています。
歩留まり(生産効率)が悪く、不安定でも、
やきものを表情として釉薬が重要だからです。
植物の灰で作られた釉薬の表情は、
柔らかく、とても暖かみがあるからです。
また、使うことで少しずつ変わるさまを楽しめるからです。

前置きが長くなりましたが、
村木さんも当然!!植物の灰で調合した薬を多くお使いです。
よく使う釉薬のなかで、さりげなくて、品のある白い釉薬があります。
もちろん、ご自分で調合さされたものです。
この釉薬に使われる灰の材料を伺って、
なるほどー。って思いました。
伺うまで、藁(わら)か・・・籾殻(もみがら)か何かの、
珪酸分の多い、植物ベースなんだなー。と。
うーん。
その灰の材料が、言われてみればなるほどだったのですが、
伺うまでは想像できませんでした。

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なんと「ビールの絞りかす」だそうです。
なんでも、アトリエのお近くに「地ビール」の工場があり、
そこでその「ビールの絞りかす」出会ったそうです。
もらい受けてもそのままでは使えませんから、
まずそれを燃やします。
その灰を集めて・・・まだ使えませんよ。

燃やした灰の中には釉薬を濁らせたり綺麗に見せない、
NaOH(苛性ソーダ)などが入っています。
それらが水溶生のために、水(お湯が速く仕事ができます)に溶かし、
灰が沈殿したら、上澄みを流してしまいます。
目的に応じて何度も水に溶かして、苛性ソーダ分を抜きます。

そんな手間をかけた、「ビールの絞りかす」の灰で調合された“秘伝”の釉薬は、
ごらんのように、非常に穏やかで気品にあふれています。

そんな大切な釉薬作りの“秘伝”を、
村木さんがあっさりと話してしまうのは、
材料や作り方は“秘伝”ではなく、
手をかけてでも作り出す心意気と姿勢が、
一番大切だと思われているからです。

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なぜなら、人それぞれで、他人にはまねの出来ない、
作り手の自身の個性こそが、
一番の“秘伝”であり魅力だからです。
釉薬作りの方法や材料は“秘伝”ではない。といえる、
自負であり自信の現れと、ぼくは思いました。


                   閑庵

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