自分では当たり前の言葉と思って、
口に出たり、ブログの記事に書いていても、
実は世の中では通じない、普通でない言葉だと、
たまに気づくことがあります。
ということは、言葉以上に、
やきものや、吹きガラスや、漆器など情報が、
誤解されていたり、間違った方向で存在したり、
距離のへだたりが出来ているのではないかなーと、
とっても心配になってきています。
情報や書き物はいっぱいあって、
婦人誌などでもよく、“うつわ”の特集が組まれたり、
料理と一緒に日常的に紹介されてりしています。
和食器の特集本や単行本も多く見かけます。
でも、なんだか・・・・違うような気がする。
って、そう思うのはどうもぼくだけではないようで、
少数派なのでしょうが、
それでも“うつわ好き”の有志がいます。
小選挙区ではありませんが、
手仕事のうつわの存在や、主流や、常識や当たり前が、
なんだか・・・・違うような気がする。
手仕事の“うつわ”を作る人も、それを使う人も、
残念ながら、もともと少数派なのでしょう。
だからこそ、無理なく知恵や見方や基準が、
歪むことなく存在していました。
そのあたりがなんだか・・・・違うような気がする。
ぼくです。

たとえば、お客様にこう尋ねることがあります。
「はじめに煮た方がよいでしょうか」
芋でも豆でもなくやきものをです。
うーん。確かに、煮ることで丈夫になると、
言われることがあるのですが・・・・、
誰か実験でもしてくれないと本当のところはわかりません。
でも、器は煮ることで丈夫になると、
物理学数字に出てくるかは、少し疑問です。
それよりも、汚れないためにと、
お米や重湯で煮ると、器の本などに見かけます。
うーん、なんだか・・・・違うような気がする。
先日も企画展の時に、ある作り手がお客さまから、
同じ質問をされていました。
即座に「必要ないです」と作り手。
ぼくが横からお話しを奪って作り手に変わってお話ししました。
「とてもしっかり、はっきり言えば高温で焼かれているので、
土物でも汚れることはありません。ただ出来れば、
使うたびに、湯や水にくぐらせてつかっていただければ、
器への温かな思いやりになります。
お茶のお点前の時に碗に湯を注ぐのは、
茶筅の痛みのチェックして湿らせて折れにくく、
器を温めて、目の前のお客様に美味しいお茶を飲んでいただくためだそうです。
でも、10年先100年先のその碗でお茶を飲むお客さまのために、
碗を急激に汚さない配慮で湯煎します。
一流のカフェはチェーン店でも同じ理屈で湯煎しているとおもいますよ。
過保護ではなく思いやりでお願いします」
と、辛口でお話ししてしまいました。
よくやるんですが・・・。

焼き切らないほうが、土味が表現しやすいのですが、
彫刻でもオブジェでもなく、器ですから、
清潔感を保てることが大切です。
つまり、使いやすい上に、土味を表現するのは作り手の仕事。
焼き切っても土味の柔らかさを持てるように焼くには、
ただ温度をあげるだけでは出来ない、
料理の火加減に共通する難しさがあります。
その作り手も言っていました。
土の限界まで焼き切ると、どうしても、
ゆがみや、釉薬のたれなどといった欠品が出て、
歩留まり(完成する比率)が悪くなります。
土物のある産地などの量産品では、
そのほとんどが、出荷時にシリコンで、
汚れや、漏れを補っています。
土味を売りにして、でも汚れるというクレームを、
作る側も売る側も受けたくない・・・のかな?
曲がったキュウリや、傷の有るトマトを嫌い、
大きさを揃えることに躍起になるのは、
生産者のせいなのか、JAマークの箱に入るサイズためなのか、
消費者のニーズなのかしりませんが・・・。
同じような構図が見え隠れします。

辛口のぼくは、
作り手に「もっとしっかり焼こう」と、
言い切ってしまいます。
使い手の皆さんには「もっとしっかり選んで」と、
言い切りたいので、選ぶための情報を伝えたいとおもっています。
うーんでもなー、間違ってないとこととはいえ、
言い切ってばかりいると、
商売としては間違いだらけの“うつわ屋”になっているだろうなー。
でも、こうしてきたから、いまさら仕方ないですね。
閑庵