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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

藤田語録 その2 「それでも・・・ぼくが五十歩」

藤田語録は面白くて、ためにな・・・ならないけど、
やきもの以外の武勇伝など多数あるのですが、
公的な場所での公表は、個人情報保護法 にも関わるので、
控えざるを得ないのが残念です。うふふ。
が、しかし、賢く、想像力たくましい読者の皆様を想定して、
書いてみますので、そのあたりは、うーんとたくさん拡大解釈、
もう、なかば妄想癖ぐらいで読みくだして頂けると、
面白いかもしれません。

さて、前置きはこのぐらいにして。
「五十歩百歩」という孟子の故事があります。
陶芸家F氏と陶芸家M氏の工房外活動における、
共同戦線において、互いの主導権もしくはリーダー的存在を、
懇意のお二人は互いに譲りあわれます。
F氏は「Mがどうしてもというので」
M氏は「Fが好むので・・・」と、
互いのきっかけや言い出しっぺを譲り合う姿は、
睦まじいほどの仲の良さです。
客観的に聞かせたいたぼくが、
「あのねーそういうのを五十歩百歩というんだよ」
F氏いわく「それでもぼくが五十歩です」と。

作り手の藤田佳三さんを紹介してくれたのは、
同じく作り手の光藤佐さんです。
お二人はそれぞれの仕事を認め合い、
また同じような手法で“うつわ”を作っていますが、
年を重ねる毎に、個性がそれぞれにのびてきて、
それぞれに魅力的になってきています。
そんな二人の個性の違いのお話しをさせて頂きます。

順序からM氏・・ではなく光藤さんから。
15年、それ以上前だったかもしれません。
光藤さんが、数点の作品をもって店を尋ねておいでになりました。
まだ20代のボクトツとしていましたが、好青年でした。
一生懸命さが伝わってくる“うつわ”でした。
いくつかの思うところを勝手にお話しして、
また作品が出来たらみせてくださいね。
ということで、お帰りになりました。
それから一月ぐらい経ったときに、
作品ができたので見て欲しいというので、
では送ってくださいと伝えると・・・・来ました。
5-6箱の段ボール箱が。
ちょっと楽しみに開けてみると、
確かにお話しした“うつわ”を改良したものがでてきました。
おー、なかなかいいじゃん!
では次の箱・・・同じ“うつわ”がまたまた。
ではでは次の箱は・・・うぬ、やはり同じ“うつわ”がー。
もしかして・・・・かくして、同じ“うつわ”が130個。
うーん。
はじめは、ちょっとあきれるというか・・・・。
でも、改めて考えると、凄いパワー。
これはただ者ではないかも。
少なくても、変人=ぼくと同類。
いずれにしてもその心意気を買っておいて良かった。
今にいたり、懇意にさせて頂いてます。
来年も1月後半に個展があります。

さて、
F氏・・・いな、藤田氏はそんな光藤氏に紹介されて、
訪ねて来てくれました。
やはり、まだ20代の人柄のよさそうな好青年でした。
同じように“うつわ”を見せて頂きながらお話しを伺い、
当時ぼくも若かったのでしょう。
藤田さんによれば、言いたい放題だったらしく、
それでも、その言葉を真摯に受け止めてくれて、
その一月半後に、見本が出来ましたとの電話。
では送ってください。と、ぼく。
早々に大きめの段ボールが送られてきました。
楽しみに開けてみれば、こちらはな、なんと。
全部違う。
包み方は当時からきちんと規格されたように、
整然と大変わかりやすく包まれ詰め込んであります。
ちなみに光藤氏は・・・非常に自由奔放に・・・無作為に。
ははは。
ともかく、開けてみると、60個前後の汲み出しが、
手法が同じでも少しずつ変えたり、
口端や、腰や、高台などの形も違っていました。
同じ物は一つもありませんでした。
わかりやすく一つずつに通し番号がついていました。
そうくれば、ぼくも番号順に、一つずつにコメントを書いて、
いえ、当時から・・・生まれてこのかた悪筆だったので、
ワープロをつかって表にしたものを同封して返送いたしました。
この件では、未だにぼくのこの真面目な厚意をですよー、
藤田氏は訴えるんです。
「手書きではなく冷たいワープロで書かれた評で、
しかもその中には、”きらい”と一言だけのコメントの汲み出しがあって、
ぼくは大変傷ついた・・・」と。
そりゃー、そうでしょうけど・・・。
その60-数点=50以上の丁寧な評はどうなの!!
まぁーいいや。

このお二人の、ちょっとベクトルが違うのですが、
作るエネルギーや作陶への意欲は群を抜いていました。
この点においては「五十歩百歩」・・・・ではないですね。
「65個130個」でしたね。
良い意味での「五十歩百歩」でしたが、
先日の宴でもまたその話が出たときに、
光藤さんの130個を大笑いしていたので、
藤田さんだって60個といったら、
「でもぼくは60個・・・」と、
純米酒「瑞雲」に舌鼓をうちながら、のたまう藤田氏でした。

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 閑庵

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