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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

普段使いの漆器

漆器は、やきものやガラスの器と違い生き物です。
素地は生きていた樹木を挽きだして形作り、
使いやすく丈夫にするために、樹液の漆を塗り仕上げたものです。
化学的に言えば、炭素と水素を基本にした有機素材で出来ています。
使い手であるぼくらと同じ生き物だったのです。
この点を好意的かつ正しく理解頂いて、
漆器とのつき合い方とつき合い方を知っていたいものです。
漆器は木が好きな私たちが、
木を使いやすくするため施した方法なのですが、
とても誤解が多いので、
その誤解を解くためにまとめてある物を読んでみてください。

【日常茶飯の漆器】
●漆器は日常の器です
 漆器は他に比べる物のない艶やかな独特の表情や質感から、ほとんどの方に、好感を持たれていながらも、誤解から普段には使いにくいと思われているようです。
木の大好きな国に生まれた私たちは、風土と長い歴史の中で木の器や道具を、丈夫に美しく使う方法として漆を塗ることにたどり着きました。漆は木との相性がとても良く、木の呼吸を止めずに、柔らかくしなやかな皮膜を作ります。被せたというより新しい肌が生まれたといって良いでしょう。素材感や量感を損なわずに、木を朽ちりや黴から守ってくれます。
つまり、木の器を丈夫で使いやすくするために、漆を塗ったのです。
                                          
【良くある誤解】
 ●漆器は誤解されていることが多いんです
 「傷が付きやすいでしょう」
 「洗うのがや、後始末がね」
 「熱いものは入れられないでしょう」
 「漆の臭いがとれなくて」
などといった声をよく聞きます。この質問に一つずつ答えることで、誤解が少し溶けるかもしれませんね。

【傷が付きやすいでしょう】
 ●車や家具と同じに塗料への優しさで十分
確かに、漆は塗料ですから柔らかな表面を持っています。その上素地は、木が普通ですからお使いになる方の優しさは必要でしょう。でも、過保護ではなく、工夫で充分です。漆器で食べるときは、金属のナイフやフォークやスプーンではなく、日本の食文化通りに箸や木の匙を使って下さい。しっかり作られた漆器なら、減るほど使っても、剥げることなく、侘びた美しさ見せてくれます。漆器は剥げるようでは、塗り手の恥。論外です。

【洗うのや、後始末がね?】
 ●他の食器と同じに考えてください
汚れは、スポンジに中性洗剤を使って洗って下さい。私たちにも漆器にも洗剤は残さずに良く濯いで下さい。今は、ほとんどの人が、陶磁器やガラスの食器をぬるま湯で洗っているように、漆器もぬるま湯の方が、汚れが落ちやすいですし、洗うぼくらにとっても、水よりずっと楽でしょう。他の器と一緒と考えていただいて、良いと思います。ぼくは、洗う順序を工夫しています。最後に洗い、堅い物や、尖った物のうえに重ねる前に拭いてしまいます。これで、大きな傷の原因の大部分が取り除けます。最近使う方が増えてきた食器洗浄器も、ちょっとした手間や工夫で、問題なく使えますよ。食洗器は、洗剤とお湯で、しかも、こすらず洗うと考えれば、ある意味では、漆器向きの洗う方法。ただ、中身が木であることは忘れないでくださいね。木の器を使い安くするために漆を塗った漆器は、熱に強く、酸やアルカリも強いです。けれど、生き物だったために、紫外線や乾燥には、強くありません。つまり、熱湯で洗う段階では、その丈夫さに問題はありません。問題は、乾燥する時です、熱風で、片寄って熱くなったり、急激な乾燥は、素地である木には優しくありません。そのためには、乾燥モードに入る前、洗浄が終わった時点で、いったん留めて、漆器だけ出してしまう。あるいは、そこで留めて、蓋を開けて自然乾燥。そんな工夫で漆器も問題なく、食器洗浄機で洗えますよ。

【熱いものは入れられないでしょう】
 ●漆器は熱に強い塗料です
 木は保温力を持ち、熱が伝わりにくく、漆は熱に強いので、熱い汁を熱く食べる為に、自然と椀が選ばれました。余談でいえば、塗料としてだけではなく、良い接着材でもあります。たとえば、昔から焼き物の繕いとして、「金継ぎ」と言われる方法につかわれています。漆を接着材として使うので、熱い食べ物も入れられる器として使えるわけです。茶釜の多くは、鋳物であるために、カタチから上下二つに鋳込み、それぞれを、漆で継ぐそうです。鋳物の溶接は現代でも難しい技術を要するそうです。でも日本に良質の漆と、それを使う技術があったので、成立した茶釜なのです。また、鉄である釜の錆止めとして、漆の焼き付け塗装もしていますね。
ちなみの、松風という湯がたぎる時になる音は、釜のそこに鉄片を漆でつけた物が、振動してだすと聞いています。湯がたぎっても剥げないのは漆だからだそうです。

【漆の臭いがとれなくて】
 ●漆は匂いますが、漆器は匂いません
 生の漆は匂うし、かぶれますが、漆器は木地に漆を塗って乾いたものが店頭に並びます。
当然のこと臭っても、かぶれてもいけません。それに、良質の漆器は使うほどに色艶を増して行き、手に馴染む美しさを見せてくれるでしょう。

【JAPANの誤解がとけると良いな】
 ●誤解が解ければJAPANが使いたくなるはず
 現代の漆器には、解決しなければならない問題が山積み状態です。いつの間にか、沢山の誤解を背負い込んでいること。年々高くなる人件費と、手間を惜しんでしまう気持ちが、雪だるま式に膨らんでいること。乾燥を早める物、ちじみを防止する物、艶を出す物などが混入されたために、臭ってしまったり、不自然な照りの肌合の漆器が多いことは、とても残念なことです。

【JAPANを辞書でひくと】
 ●はじめに出てくるのが、なんと!!
ja・pan
━《名》[U]
1 漆.
2 漆器.━《形》漆(塗り)の, 漆器の.━《動》(他)
(ja・panned; ja・pan・ning)〈…に〉漆を塗る, 漆でつやをつける.


とあります。
知っていましたか?
 チャイナ(China)は磁器のことを、ジャパン(japan)は漆器を意味するのは、それぞれの品質の高さからです。本物の漆器であれば丈夫で使いやすい日常茶飯器です。

                 閑庵

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テーマ:工芸 - ジャンル:学問・文化・芸術

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