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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

色と形と質感 1

器は立体的に眺められ、さらに、手にとり、口に触れられるという、
彫刻的な要素を持ち合わせています。
掌に納まる使える彫刻と考えてみれば、
随分とリッチな食卓になるでしょう。
器は種類により、異なる素材や作り方で、
様々な形と色や表情を見せてくれます。
やきものは土を轆轤や手ひねりで形作り、
釉薬をかけ焼成して出来上がります。
行程の基本が変わらないのに、湯飲みひとつを取ってみても、
千差万別なのは作り手の生み出す形からまず違うからです。
さらに色や質感も、作り手の思いが、一人ずつ違うので、
一人一人の顔が違うように、当然の違ってきます。
この極当たり前のことを、稲垣さんの器で改めて見せられたことをお話しします。

稲垣さんの定番の仕事に、
彼女が「グレー」と呼ぶ磁器の仕事があります。
この磁器の器群は、実に日常的に使い易く、
モダンでシャープなフォルムを持っています。
それでいながら、その「グレー」と彼女が呼ぶ、
素地の色合い質感と、小粋なデザインの図柄が、
マッチした器は、温かくて懐かしさを覚えます。

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「グレー」の素地は本来型鋳込みという、
やきものの量産に使われる磁器土で、
とても轆轤がひきにくい、手で作り出すには向かない素地です。
それをあえて使うのは、彼女にとって、その素地が必要だからです。

ingk.cc.jpg


図柄は筆書きでなく、線彫りして顔料を埋め込むという、
手の掛かる作業です。これも、それが必要だからです。
こうして、面倒ながら、彼女の選択した素地と図柄は、
一つの器として、目の前にあると納得出来ます。
そこには選択された必然があります。
元気と個性に会える器たちです。

ingk448.jpg


稲垣さんの仕事に共通して感じられるのは、
勢いと優雅さが同時に存在しながら、繊細で無駄のない形と、
その形に自然に添った釉調です。
土塊だった素地、灰や鉱物の粉だった釉薬が、
稲垣さんの手と感性で得た、成形と焼成で器となります。
色と形と質感がまぎれもない選択でなされて出来上がった器が、
完全にひとつのものとして存在しています。

               甘庵

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