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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

器と話す 2 やきものの声

今日は、一番身近で多く知識を持っているはずの、
「やきもの声」の聞くための基本の心得をお話します。
材料は「粘土」と言われる耐火性のある粘りのある土を、
手で形づくり、あるいは型に押し込み、更に、ロクロの技術を使い、形作ります。
これは、普通粘土と言われる土の持つ可塑性が、
(力を加えて変形させて、その力をゆるめても変わった形がそのまま残る性質のことです)
形作ることを自由にしています。

土ものと言われる陶器、せっ器は、掘り出した粘土でつくります。
そのために「土もの」といわれます。
石ものといわれる磁器は少し違い、石を細かく砕き、粉にしたものを基本の素材にして調整しています。
通常は粘土よりは挽きにくく、独特の技術がいります。
ロクロという道具とそれを使いこなす技術があってこそ成り立ちます。
土ものでも石ものでも、いずれにしても、可塑性のある粘土という状態でこそ、様々な形が作り出されます。
また、ロクロや型があってこそ、量産されて、器として身近なものになりました。

やきものは古くから使われていても、
初めは無釉(釉薬のかからないもの)でしたが、
時代と共に、様々な釉薬が開発導入されていき、
江戸初期には現在見られるほとんどの作風や手法が確立されていました。
当時は茶人などの限られた特権階級の人々のものだった器が、
ご理解さえ頂ければ、身近で使えるという、恵まれた現状になっています。
しかし、それに気づかずに、あるいは、器からの語りが聞こえにくいのか、
限られた種類の、あるいは大きな声で語る器のみを使う方が多いのは残念です。
とくに土ものは弱いとか、チップ(縁などがすこしだけ欠けてしまうこと)しやすいという、
磁器に比べれば、素材の持つ堅さが少なく、色が変わって行く様を良しとしていただけないと、
土ものの語りは心地の良い物とは言えないかもしれません。
でもここに、侘び寂びといわれる和の美意識の代表が存在し、
毎日の食卓でも楽しめる事だと、見直して戴きたいと強く思います。

一方磁器は、使うことで表情が変りにくいという良さをもっています。
磁土は陶土より重いので、通常は薄目に仕上げるのが約束です。
ところが陶土より挽きにくいために、薄く仕上げるの伝統的な技術が必要です。
この薄くて、ひずみのない形状や、汚れず透明感のある質感が、
それが磁器良品の標準として定着したまま、
時代へ背景とともに、鋳込み(型物)、機械ロクロなどの量産と姿を変えていきました。
その量も多いために、磁器=量産をイメージする方も多いようです。
それでも近年は、磁器の産地以外での作り手や、
手の後を残した、温かみのある磁器を作る作り手が増えて来ているは、嬉しいことです。

やきものは、陶器でも磁器でも、作り方や、性質の多少の差や特徴がそれぞれにあっても、
おおよそは粘土という形状の可塑性のあるもので作り出しています。
そのために、やきものの器から聞こえる声は、まずこう語っています。

それが柔らかな瑞々しい肌合いの粘土をロクロという技術や、
タタラという粘土の板にして型から姿を写したり、
板を組み立てたりと、柔らかく自由になる性質の可塑性を上手く使って、形が作られます。
そのことを想いながら、器を使い、お茶を飲んだり、
料理を盛りつけると、器との楽しい会話出来ると思っています。

素材の粘土には、土ものほっくり焼けた陶器や、
かちっとざっくりした土肌のせっ器や、
光りにかざすと光りが通る滑らかな生地の磁器とか、
器一つずつの違う顔つきがまた楽しいものです。
そんなやきものの声は、やはり手で作られた"うつわ"の方が、
きっと聞こえてくるはずです。
お気に入りの"うつわ"の声に、耳を傾けてください。

明日は、「吹きガラスの声」をお話します。
      
甘庵

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