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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

器と話す 3 ガラスの声

今日は「吹きガラスの声」のお話です。
夏の器の代表ですが、空調が整った現代では、
自然と一年中身近で使う器になりました。

ガラスも、やきものと同様に身近な器の素材です。
器ばかりか、お酒や醤油といった液体や食品を詰める瓶や、
建築や車や電車の窓ガラスや、電球や蛍光灯などや、
プラスティックが多くなりましたがカメラや眼鏡のなど光学レンズ、
断熱材などに使われるグラスファイバー、
ファイバースコープや通信用ケーブルまで、広い範囲でつかわれています。

歴史も古く、紀元25世紀まではたどれるようです。
初めは、装飾用かお守りか、今でいうトンボ玉のような小さく不透明のものでした。
はじめに中空の器が出来るのは、コアガラスという方法で、
粘土などの芯にガラスを巻いて形作り冷めた後に芯の粘土をかき出して作ります。
その後紀元前後にローマンガラスという吹きガラスの原形が出来上がり、
器を作るのに適した技法として、世界中に広がっていきました。
現代でのガラス工芸の器は、ほとんどこの吹きガラスの手法で作られています。
酸化しにくくガラスに色をつけないステンレスのパイプに溶けたガラスを巻き取り、
息を吹き込み膨らませて形作ります。
装飾も様々な方法が好みで加えられます。

ガラスは人工の素材で、作り手の好みや意志が反映しやすく、
色がある素地も、無色透明な素地も、作り手によって選ばれていて様々です。
この素地自体に、まず、ガラスの語りがあります。
ガラスは固まって固体なのですが、
物理的にいう、液体が結晶して固まった固体ではなく、
液体のまま結晶化しないで、液体の姿のまま固まっているために、
それぞれの色や濁りや澄んだ質感と見て取れます。
形も含めてそれが熱く溶けた液体だったこと、
そこに息を吹き込み巧みな技で形作られた事を、思い描いてみてください。
様々の好みの素地と、作り手の特徴のある形と相まって、
様々なガラス器がつくられます。

やきものが、粘土で形作って、釉薬をかけて、
苦難のともいうべき高い温度で焼かれて、姿を生み出すのとは異なり、
同じような高温で水飴か蜂蜜のように溶けたガラスを、
それが固まっていってしまうまえの、わずかな時の間に、
すぐれた匠の技で、使い易さを満たした器の姿を生みだし、装飾も加えます。
まさに熱い仕事なので、ホットワークといわれます。
冷たい飲み物が入って結露したグラスが、
熱く溶けたドロドロの液体から形作られたのことを想像しながら、飲み干すのも、
不思議な感覚ではないでしょうか。
滑らかで有機的な吹きガラスのフォルムを、眺め透かして、
有機的な感触の掌(たなごころ)という、
手に納まり心地を楽しみながら、グラスの語りに耳を澄ましてみてください。
きっとガラスの声が聞こえて来るはずですよ。

明日は、「漆器の声」の聞き方をお話します。

           甘庵

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