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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

器と話す 4 漆器の声

器と話すテーマの4回目の今日は、
漆の声を聞くお話です。
漆器を使う機会の多いお正月に、
使われた方も多かったことでしょう。
その漆へは誤解されがちですので、
何度かお話してきたことですが、
改めての整理するつもりで読んでください。

漆器の声
普通漆器は、ロクロで挽きだした木地に漆を塗り上げたものをいいます。
漆器にイメージすることの多くは、その潤沢な表情への憧憬と、
高級なもの、普段使いではなく特別な時に使うもの、
扱いや後始末が面倒・・・などと、
普段も漆器をつかっている庶民のぼくからすれば、
それらの誤解は、まるで怪奇ロマン伝説のように感じます。

確かに漆器の持つ表情は塗装の中では、
最上級のものといって間違いないと思います。
と、同時に、性能でも最上級です。
ただ、あくまでも、塗装であること、
また他の工芸の器とは違い、素地は有機物な木で、
そこに有機塗料の漆を塗った、有機的な器だと言う点です。

例えば、洗い方を考えるときに、
洗車と比べて考えていただければ、わかり安いでしょう。
どんな高級車でも、美しく保つために洗うのと同じに考えてください。
漆器を洗うときは、使った後の汚れをのこさないという点で、
中性洗剤をつけてきちんと洗い、良く濯いでいでください。
気遣いはただ、愛車と同じです。
硬いものでは洗わない、こすらないと言うのは鉄則です。
良質でも塗装面は柔らかいからです。

でもこの有機的な柔らかいという事が、強い塗装の条件です。
漆器は「漆がはじめにありき」ではなく、
「木の器がはじめにありき」なのです。
木と言う素材が好きなぼくらが、木を丈夫に長く使えるために、
一番丈夫になる塗料だった漆という素材を選んだのです。
軽くて断熱性のある木と、木の樹液である漆との相性は抜群です。
漆自体は、古くは縄文時代から、
縄文土器の漏れ止めや装飾として使われていましたが(陶胎漆器と同じです)、
器としては、木との抜群の相性で出来た漆器が一番だったようです。
漆という塗料は、木の呼吸を止めずに、
四季の変化で動く木地に、柔らかいからこそ追従して、
ヒビが入ったり剥げたりはしにくい、丈夫な塗料なのです。

木は乾燥や過剰な熱には弱いですし、燃えます。
中身が木だと言うことを忘れなければ、
あまり神経質になる必要はありません。
しかも、乾いた漆は熱にも強く、灰皿などのも使わた歴史からも、タバコの直火でもたえられます。
二つに鋳込んだお茶の釜などの接着に使われ、
直火で湯を湧かすのにも問題なく耐えるほどです。
こんな漆を塗った漆器なのですから、
熱いおみそ汁を食べる椀として、耐熱性や保温性の良く、
木との相性の良いタッグの漆器は本領を発揮します。

口当たりの柔らで、手にしたときの漆器の肌合いは、
他にはない心地良さの器です。
木という有機的な素材を、
木との語りから最適の「木どり」して、木地轆轤で引き出し、
鑿やカンナで削りだしたり、刳りだしたり、
あるいは、指物と言う技術で組んで作り出した木の素地に、
漆という天然の塗料を、塗っては研いでまた塗るという作業を何度も何度も繰り返して、
あの滑らかな肌合いに仕上げて行く作り手の愛情溢れる手間が、
長く飽きの来ない漆器を作り出しています。
この素晴らしい木の素地に漆を塗装して作られたjapan(漆器)を、
ぼくらの文化として誇りの思いながら、
暖かいおみそ汁を暖かいまま頂きながら、
漆器の語る声を聞き取りましょう。

              甘庵

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