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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

「草」の器は遊び心で

光藤さん個展の最終日の今日。
荻窪村も昨夜の冷たい雨が深夜から雪に変わって、
早朝には、木々や人の歩かないところは白化粧されていました。
それも、どんどん解けては来ているので、
店に出来てきた9時過ぎには、
雪かきの必要はありませんでした。

さて、今日は「草」にあたる器のお話です。
定番の器にも、単品の器にも、「草」の気配は見えます。

たとえば、定番になっている「粉引鉢」のシリーズ。
柔らかさを感じさせる轆轤挽きから生まれる全体に丸みあるフォルム、
外側に返して、重くすることなくボリュームを持たせた口作りや、
緩やかに歪ませて、楕円にするところは、
「草」のキーワードである「くずす」を、
さりげなく、デザインの中にとりいれています。

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同じ粉引の平鉢ですが、
こちらの口は内側に返されて欠けにくくしています。
平たいフォルムと薄造りな分、
口が掛けやすいことを、ご自分で料理をすることもあって、
意識していてのことでしょう。
その口を、2カ所わずかに内側に押して歪ませてあります。
くずしながらも、実は「ふくべ」(ひょうたん)の姿にしています。

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高台のない、「糸じり」と呼ばれる形の底に仕立てた、
「ゆのみ」のシリーズがあります。
轆轤から挽き上がった器を切り離す時に、
ゆっくり回ったろくろに糸をあてて引きます。
その糸の残した軌跡を面白味として珍重するのは、
「茶入れ」で知られていますが。
そのまま残す以上は、無駄な厚みがあると、
重いだけの器になること、
切り離した後に、あまり削るようではいけません。
調整の程度です。
轆轤引きのみずみずしさや、スピード感が味わい器です。
実は大変テクニックがいることなのです。
轆轤挽いて、糸で切り離して、それでもう完成という。
手慣れていないと出来ない仕事で、
同時に、手抜きの安直な雑器にも見られた仕事です。
茶入れの例も同じで、そこに格と品をもちこめれば、
いきなり侘び寂びの想いが整うわけです。
これはまさに「草」の姿です。
ごくごく日常的なボウル型で、しかも高台がない分、
くだけた姿として、多目的にも使われるゆのみは、
「草」の心意気でつくられています。

他にも黒釉と灰釉を大胆に掛け分けられた、
「朝鮮唐津」などは、綺麗寂び的な「草」を感じます。

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柔らかなうちに指で歪めて鳶口をつけた大鉢も、
くずしながらも、品格を失っていない、
むしろ歪めることで、凛とした力を感じさせています。

お話してきてた「真」「行」「草」の振り分けは、
ぼくの個人的は見方のこじつけに近い物ですが、
光藤さんが轆轤に向かい器を作り出すときには、
土と語りながらフォルムを挽きだしいて、
その時には、釉掛けも、焼成も・・・・焼き上がり、
料理が盛られるところまでを、
シュミレーションしていると思っています。
作り手光藤さんにとっては、
土遊び、お絵かき、火遊び・・・・の計画なのでしょう。
遊び心にあふれた楽しい仕事に違いありません。
同時にそこには、真摯なものつくりの姿勢があります。
だからこそ、品と格を持ち合わせた器が生み出されます。
後は受け取ったぼくらが、品と格をもちながら、
いかに遊んで使うかですね。

                    甘庵

テーマ:工芸 - ジャンル:学問・文化・芸術

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