FC2ブログ

うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

手のあと

やきものといえば、ぐるぐる回る轆轤(ろくろ)で、
びゅーん。って、
巧みな技を見せて作り出すイメージですが、
次回企画展の「鶴見宗次 手あとの美しさ 展」でご覧に入れる"うつわ"は、
すべて鶴見さんの大きな手から、こちこち・・・・・。
って、手あとをつけながら生み出された器です。
「手ひねり」といわれる、だれでも一度はやったことがある粘土遊びと同じで、
手指でのばして形を作りだしていきます。

trm597.jpg


よく見ればすべての器に、指の後が細かくついています。
使う土は、伊賀の原土と作陶している常滑の原土で調整した、
ケイ石が見える、ざくざくした土です。
これを轆轤で挽くと指が痛そう。
ってわけではないでしょうが・・・・。
シンプルな作りゆえの力強さは、鶴見さん独自の器に仕上がっています。

轆轤のスピードは量産にも繋がり、器作りへの気持ちの濃度が、
まますると薄れがちになります。
比べて、手ひねりは、気が入るというか・・・・。
彫刻を生み出す手法に近いと思います。

trm596.jpg


造形に強さが出てしまうという点もありますが、
表情の情感や、肉感的な造形は、
やきもの生い立ちの中では、縄文や弥生などにみられる、
作り手の、生の息づかいが感じられます。

この造形を生かすために、
調整された釉薬ではなく、
木灰をそのまま、水に溶いてかけただけの、
シンプルな分力強い焼き上がりになる手法。
焼成も釉薬より高温の焼成が必要なので、
カリンカリンに焼けています。
そして、冷却還元による強還元状態が、
素地を引き締め、いぶし銀の黒さにして、
灰は、しっかり溶けて、緑の玻璃(ガラス)質になっています。

trm595.jpg


ある時、焼き終わった窯をあけたら、
窯のなか全部がお皿になっていて、
思わず蓋をとじて、寝ぼけていたかな?と、
深呼吸してゆっくりあけても・・・・、
やはり、全部皿になっていて、ショックと受けたことがあるそうです。
つまり、土の限界を超えるまで焼いてしまい、
鉢も碗も、溶けて皿になってしまったそうです。
それほど、ギリギリに焼いてしまうというところが、
鶴見さんの器のおもしろさと魅力を秘めた、
エピソードだと思います。

今年の作品がどんな表情を見せくれるか楽しみです。
会期中には、この手ひねりの器の魅力を、
お話していきたいと思います。

           甘庵

  
皆様のクリックは励みになります。

人気blogランキングへ

にほんブログ村 美術ブログ

bloog.jp へ

テーマ:工芸 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
https://utuwaya.blog.fc2.com/tb.php/326-564d5c33
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)