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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

二つの泡

荒川尚也さんは、泡の演出がとても上手いガラスの作り手です。

勢いのある清流を瞬間的に封じ込めたような動きのあるグラス。
凍てつく氷から切り出したような鉢。
大きな葉に揺れ動く露のような皿。
そんな水や氷を連想させるのも、
澄んだ素地と、巧みにデザインされ演出された泡があるからです。

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この泡にはよく見ると2つのタイプがあります。
一つは、科学に強い荒川さんらしさの光る、発泡させた泡です。
もう一つは、吹きガラスのテクニックと心意気から出来た泡です。

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まず、この流れる水のような動きのある泡は、
計画的に発泡させた泡です。
ルツボで溶けたガラスはかなりサラサラしていて、
一つのグラスを作るときにでも、何度かに分けて、
ステンレスの竿に巻き取っていって、
息を吹き込み膨らませていくことから作って行きます。
その作業の途中に、素地に発泡する薬品を巻き取り、
その上に、またルツボに入れて周りに素地を重ねます。
こうして素地の間で、熱化学反応して炭酸ガスの泡が発生します。
ですから、非常に計画的にデザインされて出来ているそうです。
もちろんそれは、センスと技があって出来ることなのです。

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こちらの、つんつんつん・・・と、
リズミカルな軌跡の泡のネタは、ノコギリだそうです。
丹波高原の古い民家に住み、初めて工房を作られたのはその民家の納屋でした。
その納屋を、工房にするために片付け整理したときにあった大きなノコギリが、
この柔らかく伸びやかな泡をつくりだした元だそうです。
木挽きノコギリなのでしょうか、かなり歯の間のあるようです。
それを立てておいて、巻き取ったガラスを適当な時点で、
コロコロコロとその上をころがすと、
ツンツンツンと小さな連続した凹みが出来ます。
手早く、その上に溶けた素地を重ねると、凹みが気泡として残ります。
これが基本だそうです。

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ヨーグルトカップのシリーズは、横にコロコロコロと、
Dip皿や鉢のシリーズは竪に、ツンツンツンと、
凹みをつけて、それぞれ動きの見えるデザインに、
素地を着せて、このリズミカルな泡ができます。
ぼくには、なんだか長閑で、揺らいだ水の中の泡みたいに見えます。

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さて、皆さんは荒川さんが作る泡のガラスから、
どんな連想をされますか。
きっと、これからの時期にピッタリの“うつわ”としての、
涼しげで爽やかな連想なのではないでしょうか。
            閑庵

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