練り込みという手法は、
複数の色の違う胎土=粘土を意図的に練り込んで、
土の色合いが生み出す文様を楽しみます。
練り込みを手がける方の多くは、
計画的に、あるいはたくさんの手間を掛けて、
縞や市松などといった、幾何文を生みしています。
根気のいる静かさを感じる仕事です。
稲垣さんの練り込みは、動きを感じる仕事です。
予期された偶然を上手く取り込む、
窯変や、灰かぶりや、緋だすきなどといった物に、
感性では似たものがあると思います。
まずは見てください。

これは、同じロクロで生み出された、
フリーカップを3つ並べました。
中程のカップの見込みは随分白い部分が多いですよね。
でも、このカップをそのままの配置で裏返して見ると・・・。

どうですか、見分けが付かないくらいの、
青と白の混ざりぐらいは、同じような感じですよね。
稲垣さんの練る込みは、
このカップですと、青い土と、白い土の塊を合わせ、
そのままロクロの上に乗せて、挽きだしてしまいます。
カップごとに、青の土と白の土が、平面的ではなく、
立体的に混ざっているので、
たまたま白い土だけの面ででることも、
その逆もあります。
でも、裏では平均的な混ざり具合の姿になっていたりします。

ロクロの上で土がねじられて、練り込まれていく、
勢いとスピード感のある、稲垣さんの練り込みを、
裏も見ながら楽しんでください。
甘庵
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