楓拭き漆箱です。

ぼくの撮影腕前と画像サイズから、
いまいち杢目の美しさをお伝え出来ないのが残念ですが、
実物を手に取ると、
手に吸い付く感じがします。
きめ細やかな素地を感じ取れる繊細な木地轆轤の技と、
その肌合いを生かす丁寧な拭き漆で、
日本の四季が生み出した楓の杢目の美しさを、
最大限に引き出しています。
楓は紅葉の美しさでも私たちを楽しませてくれますが、
加工材としても、緻密な木質で、白く上品な肌と、
しとやかな杢目の美しさから、
長く愛されてきました。

松室さんは木地師として、
杢目を生かした仕事で評を得ていますが、
今まで荻窪「銀花」では、
日常に使いやすく丈夫な漆器を多く提供していただいてきました。
今回の箱展では、本来のお仕事の技を見せていただいています。
一口に言えば、心が貴族であってこそ、
受け取れる仕事です。

拭き漆は、名の通り、
漆を拭き取りながら塗り重ねる仕事で、
皮膜層が薄く、艶やかでいながらも、
樹種それぞれの、杢目の美しさを引き出す仕事です。
皮膜層が薄いため、ばんばん洗ったり、
スリスリこすったりには、向きません。
少し心を貴族に持って、
掌で包み込み、作品に耳を傾ければ、
長い時を風雪に耐えて、
美しい杢目が生み出された時の流れを語る声が、
聞こえてきますよ。
と・・・・妄想うつわ好きオヤヂの戯言です。
甘庵
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