中に仏様を安置する小さなお堂ようようだったり、
タンスのようだったりする、入れ物です。
この稲垣明子さんの屋根の型の蓋をもつ箱から、
なぜかぼくは、厨子をイメージしました。

もちろん通常の厨子は観音開きの扉ですから、
屋根のような部分の蓋が開くこの箱では、
厨子とは大きく形態も異なるのですが、
どこか厳かで気品ある気配が漂い、
何か高貴な、尊いものを入れたくなります。

稲垣さんが器でよく使う結晶釉が施されていて、
ほどよく華やかな紅色の彩色が、
家や、お堂をイメージさせるデザインにも生かされています。
交互に彩色された方行の屋根には、
宝珠や水煙のようなつまみも付いています。
四面にも窓にも見える加飾があり、
バランスの良く配置された構成が、
まるでお堂を小振りに圧縮したように映ります。

掌に包み込めるほど小さくても、
重厚な趣のある箱に仕上がっています。
そのあたりが、ぼくに厨子を連想させたのかもしれません。
甘庵
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