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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

お話し会用ネタ その2

お話し会用ネタ の続きです。
Sunnyさんからの指摘にもあったように、
なるべくわかりやすくと思いながらも、
器好きなことからすれば、どうでもいいことなのに長いので、
ちょっと読むのが面倒くさくなると思います。
興味有る方だけ・・・・それも、斜め読みで十分ですが、
その1とタイトルしてしまったので、
一応続けま~す。
今日は器の色を読むの後編です。

c. ガラスの色
【ガラスの色の元も金属】

ガラスの色の出し方も、理屈はやきものの釉薬と同じです。簡単に書いてみます。

化学の時間を思い出すような、言葉が出て来ますが。
化学が苦手だった人も、あまり難しく考えずに、
料理を作るときに、野菜、肉、魚などを素材に、
塩、醤油、酒、みりんが調味料として使われるぐらいに、
思って、聞いてみて下さい。
それに、料理と違って、
取りあえずは、直ぐに作る機会もないでしょうから、
気楽にどうぞ。

たとえば、ラムネ瓶のグリーン色の元は鉄なんですよ。酸化鉄という、ペンキを塗るときに錆止めにも使う、赤い粉です。
日本では古くから、ベンガラと言われて、建物の防腐をかねた塗料として使われています。
「ベンガラ格子」って聞いたことがありませんか。
そのベンガラです。

ガラスの元になる成分はシリカ(SiO2)です。普通は原料として珪砂から構成する事が多いようです。
世の中に一番多い金属は、鉄です。
ガラスの原料の珪砂は、天然のものですから、やはり、どこにでもある鉄分が微妙に入っています。そのため、珪砂を原料にして、ごく普通に作る板ガラスなどを、
よく見ていただくとわかると思います。
板ガラスを、透明だを思われている皆さんが多いかもしれませんが、
実は薄い緑なんですよ。
棚板などに使っているガラスの切り口を、見たことはありませんか?
緑色をしています。
これは、鉄を特に加えなくても、天然の材料の珪砂のなかに、微妙に入っている鉄で、
この色になっているんです。

これに、さらに酸化鉄をくわえることで、緑色が濃くなります。
これがラムネ瓶です。
ビール瓶などの茶色はもっと、たくさんの酸化鉄を入れ、
還元炎をいう、酸素の少ない炎の中で作り出します。
さらに、硫黄などをくわえることで、茶色を濃くしたり安定させるそうです。

普通色の発色は金属が酸化したり、還元して色を発色します。
ちょっと変わりもので金赤と言われる赤いガラスがあります。
これはまさに、金で赤い色を出すのですが、
金は酸化しないので、そのままでは、ガラスに溶け込まないので、
金を溶かす王水という酸に溶かしたものを、
加えて作るそうです。

このように、ガラスを着色するにも、金属を使います。
大体が酸化金属にしたり、水酸化金属にしたものを、
調味料のように、材料に入れることと、
焼き加減のように、炎の状態を操作することで、
様々な色を出しています。

料理と同じで、理屈や方法は同じでも、
個性や感性から、ずいぶんと味付けの違う、
作り手それぞれの顔が出来てきます。
それもまた、楽しいことですよね。



d. 漆器の色
漆器もやきものやガラスと同じように金属を色の元に使う事が多いですが、
黒い漆を作る方法の一つである鉄を第一鉄化して黒くする熱反応以外は、顔料として金属を漆に錬り込んで、色漆を作ることが多いでしょう。
代表的な朱漆は、作り手の好みで朱(硫化水銀)やベンガラ(酸化鉄)を調合して、漆に練りこんで色漆にしています。朱の主な成分は硫化水銀という恐ろしそうな金属ですが、漆の中で固まると毒性がほとんど滲み出ないようです。漆の場合は、このように、顔料の金属を練り込むという形で色漆を作り、それを塗布する方法で作りだしています。
近年、朱の変わりに、赤いプラスティックを粉にした顔料を売っていると聞いています。安価なのと、金属より軽いということがあるようですが・・・さて、どんなものでしょう。


e. 時代の色
やきものでも、ガラスでも創始期には、目的にあった形を作るだけで手一杯だったのが、新しい発見による、手法や技術の進歩や材料の変遷で、色が豊富に出来るようになっていきます。また時代事ごとの好みなどから、器の色を変えていったようです。
たとえばやきものは、世界で一番古いと言われる縄文式土器は、祭器のような特別なものには漆で彩色がされていたようですが、そのほとんどが、火に焼けた土の色そのもので、あえて言うなら、土と炎の勝負で出来た色合いです。これは、後の弥生式土器、その後の須恵器、無釉時代の六古窯まで続き、現在も備前(伊部)などはその流れのままの土味を活かした色です。
その後、平安に唐三彩と同じ方法で作られた奈良三彩が短い間存在しますが、鉛釉の弱さから、忘れられて行きます。平安末になってやっと自然釉から、青磁の一歩手前まで出来てきます。
このあたりから釉薬が施されて行くことで、やきもの色は時間と共に豊富になり、要望にあわせて、黒、黄色、赤、茶、緑、そして白と生まれて行きます。また同じ色でも、澄んで明るくなっていくのは、常に時代の要望であり技術の裏付けから、徐々にそうなっていきました。
近世になって飛躍的に進歩した技術の裏付けと、暮らし方の変化は、器への傾向も激しく変わっています。日本中が元気だったバブル期には、重くて土っぽいものへの回帰が強く感じられ、その後の不況と共に、軽くて明るいものが好まれだして、更に近年は、使い回しが効くという錦の御旗を掲げて、無味乾燥な白いキャストのデザイン器と決められた手本のコーディネイトで、安心して、使い方を手に入れると考えるのも、一つの流れのようです。

f. 曖昧な色合い うつろう色
日本の色の文化は非常に繊細でいて、自然界から写し取った色合いを愛でて楽しみという伝統があります。女性たちの着物の変遷は十二単の時代より綿々と繋がる、取り合わせ、グラデーション、補色とあらゆる方法を編み出し、実践してきました。それは器と料理の関係においても同じです。また、陶器のように使って行くことで時の分だけ変わり行く器などは、その変化を楽しむと言う伝統も、侘び寂の文化として、確立されていきました。
先に使い回しの効くキャストの白い器の話をしましたが、そのほとんどが変わることのない素材と質感であることを由とするのに対して、同じ白い器での粉引きなどは、白い釉薬ではなく透明な釉薬と、素地との間に白い化粧土を施すことで、粉をひいたような白さと言う意味合いでそう呼ばれたそうですが、その構造ゆえに使う事で表情や色合いが変わっていきます。その白と言いきれない白さの曖昧の色合いを愛で、使うことで侘びていってしまう白を、うつろう色合いの白をいとおしむ、侘び寂の好みも日本の文化と知っておいてください。

テーマ:工芸 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

Sunnyさんの優しさに

救われて、またまた似たような内容文章の、
第3弾を載せておきました。
またついでのときに。
「何呑む?」へのコメントのお返事にも書きましたが、
いろいろなぐい呑みから選び出すという趣向は、
器好きの遊び。
早くなくなった酒飲みの友人の家にいったら、
ぐい呑みを選んだ後に、
やはり盆にのった人数分の徳利を目の前にだされたので、
どれに酒をいれて使うかを選べという意味かと、
「ではこれで」というと「どうぞ」ときた。
持ってみると既に酒が満たされている。
友人もとり、手酌だぐい呑みを満たし。
「ようこそ、かんぱい~」
「・・・・・か、かんぱい」

ぼくの店からいった徳利がしっくりこなれていたので、
「随分よくなっていますね~」
「ずん分呑ませたから」
って、呑んだのは自分だろう~。
徳利は窯変の備前。
たしかに、酒を飲むようなさくゆき・・・。
「命がけでのんでいるもの・・・」と豪語していた,
ぼくより年下の彼は、惜しくの早世してしまった。

いやいや甘庵さん

ちょっぴり難しいとは言いながらとっても面白いんです。第2弾も嬉しいです!

金赤は本当に高価ですよね、でも赤の色合いが全然違う、抜群に良いように思います。憧れの赤です。
暮らし方の変化と器への傾向、面白いですね。(なんやかんや言うて本当は手びねりの風情のある器が大好き。)

下の記事も楽しい~。私も絶対に訪ねてきた友人に「何飲む?」と聞いた後は「どれ(器)がいい?」と聞くクチです。

  • 2007/03/19(月) 16:59:14 |
  • URL |
  • Sunny #mQop/nM.
  • [ 編集]

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