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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

お話し会のネタ その7

5.器と暮らす
漆などは身近で使うものなのに、誤解ために使いにくいと思われがちです。
器の使い方、洗い方、管理の仕方などから、
四季に合わせたり、晴れと褻(ハレとケ)での器の選択など、
積極的に暮らしに取り込む知恵をお話しします。

a. 暮らしの中の器
器は使われてこそその価値を見いだせます。
工芸作品には広がりがあります。身近な食器からアートまで、その範囲はとても広く、境目も曖昧です。それでも、日本の工芸のほとんどが、使われる目的の元に作られてきました。
そして、使われてこそ、器は生きてきます。それが日本の工芸の特徴と言えます。
漆器、陶磁器、ガラスなどの器を使うと言うことは、危うさも同時に持ちますが、使い方の基本を理解していれば、かなりの部分を軽減出来ます。
その使い方の基本をお話しましょう。
b. 漆器と暮らす
漆器は、多くの他の器と違い生き物です。
素地は生きていた樹木を挽きだして形作り、使いやすく丈夫にするために、樹液の漆を塗り仕上げたものです。化学的に言えば、炭素と水素を基本にした有機素材で出来ています。つまり使い手であるぼくらと同じ生き物だったのです。この点を好意的かつ正しく理解頂いて、漆器とのつき合い方とつき合い方を知っていたいものです。
重ねてお伝えしますが、漆器は木が好きな私たちが木を使いやすくするため施した方法なのですがとても誤解が多いので、その誤解を解くためにまとめてある物をここに提示しておきます。

【日常茶飯の漆器】
 ●漆器は日常の器です
 漆器は他に比べる物のない艶やかな独特の表情や質感から、ほとんどの方に、好感を持たれていながらも、誤解から普段には使いにくいと思われているようです。
木の大好きな国に生まれた私たちは、風土と長い歴史の中で木の器や道具を、丈夫に美しく使う方法として漆を塗ることにたどり着きました。漆は木との相性がとても良く、木の呼吸を止めずに、柔らかくしなやかな皮膜を作ります。被せたというより新しい肌が生まれたといって良いでしょう。素材感や量感を損なわずに、木を朽ちりや黴から守ってくれます。
つまり、木の器を丈夫で使いやすくするために、漆を塗ったのです。
                                          【良くある誤解】
 ●漆器は誤解されていることが多いんです
 「傷が付きやすいでしょう」
 「洗うのがや、後始末がね」
 「熱いものは入れられないでしょう」
 「漆の臭いがとれなくて」
などといった声をよく聞きます。この質問に一つずつ答えることで、誤解が少し溶けるかもしれませんね。

【傷が付きやすいでしょう】
 ●車や家具と同じに塗料への優しさで十分
確かに、漆は塗料ですから柔らかな表面を持っています。その上素地は、木が普通ですからお使いになる方の優しさは必要でしょう。でも、過保護ではなく、工夫で充分です。漆器で食べるときは、金属のナイフやフォークやスプーンではなく、日本の食文化通りに箸や木の匙を使って下さい。しっかり作られた漆器なら、減るほど使っても、剥げることなく、侘びた美しさ見せてくれます。漆器は剥げるようでは、塗り手の恥。論外です。

【洗うのや、後始末がね?】
 ●他の食器と同じに考えてください
汚れは、スポンジに中性洗剤を使って洗って下さい。私たちにも漆器にも洗剤は残さずに良く濯いで下さい。今は、ほとんどの人が、陶磁器やガラスの食器をぬるま湯で洗っているように、漆器もぬるま湯の方が、汚れが落ちやすいですし、洗うぼくらにとっても、水よりずっと楽でしょう。他の器と一緒と考えていただいて、良いと思います。ぼくは、洗う順序を工夫しています。最後に洗い、堅い物や、尖った物のうえに重ねる前に拭いてしまいます。これで、大きな傷の原因の大部分が取り除けます。最近使う方が増えてきた食器洗浄器も、ちょっとした手間や工夫で、問題なく使えますよ。食洗器は、洗剤とお湯で、しかも、こすらず洗うと考えれば、ある意味では、漆器向きの洗う方法。ただ、中身が木であることは忘れないでくださいね。木の器を使い安くするために漆を塗った漆器は、熱に強く、酸やアルカリも強いです。けれど、生き物だったために、紫外線や乾燥には、強くありません。つまり、熱湯で洗う段階では、その丈夫さに問題はありません。問題は、乾燥する時です、熱風で、片寄って熱くなったり、急激な乾燥は、素地である木には優しくありません。そのためには、乾燥モードに入る前、洗浄が終わった時点で、いったん留めて、漆器だけ出してしまう。あるいは、そこで留めて、蓋を開けて自然乾燥。そんな工夫で漆器も問題なく、食器洗浄機で洗えますよ。

【熱いものは入れられないでしょう】
 ●漆器は熱に強い塗料です
 木は保温力を持ち、熱が伝わりにくく、漆は熱に強いので、熱い汁を熱く食べる為に、自然と椀が選ばれました。余談でいえば、塗料としてだけではなく、良い接着材でもあります。たとえば、昔から焼き物の繕いとして、「金継ぎ」と言われる方法につかわれています。漆を接着材として使うので、熱い食べ物も入れられる器として使えるわけです。茶釜の多くは、鋳物であるために、カタチから上下二つに鋳込み、それぞれを、漆で継ぐそうです。鋳物の溶接は現代でも難しい技術を要するそうです。でも日本に良質の漆と、それを使う技術があったので、成立した茶釜なのです。また、鉄である釜の錆止めとして、漆の焼き付け塗装もしていますね。
ちなみの、松風という湯がたぎる時になる音は、釜のそこに鉄片を漆でつけた物が、振動してだすと聞いています。湯がたぎっても剥げないのは漆だからだそうです。

【漆の臭いがとれなくて】
 ●漆は匂いますが、漆器は匂いません
 生の漆は匂うし、かぶれますが、漆器は木地に漆を塗って乾いたものが店頭に並びます。
当然のこと臭っても、かぶれてもいけません。それに、良質の漆器は使うほどに色艶を増して行き、手に馴染む美しさを見せてくれるでしょう。

【JAPANの誤解がとけると良いな】
 ●誤解が解ければJAPANが使いたくなるはず
 現代の漆器には、解決しなければならない問題が山積み状態です。いつの間にか、沢山の誤解を背負い込んでいること。年々高くなる人件費と、手間を惜しんでしまう気持ちが、雪だるま式に膨らんでいること。乾燥を早める物、ちじみを防止する物、艶を出す物などが混入されたために、臭ってしまったり、不自然な照りの肌合の漆器が多いことは、とても残念なことです。

【JAPANを辞書でひくと】
 ●はじめに出てくるのが、なんと!!
ja・pan
━《名》[U]
1 漆.
2 漆器.━《形》漆(塗り)の, 漆器の.━《動》(他)
(ja・panned; ja・pan・ning)〈…に〉漆を塗る, 漆でつやをつける.


とあります。
知っていましたか?
 チャイナ(China)は磁器のことを、ジャパン(japan)は漆器を意味するのは、それぞれの品質の高さからです。本物の漆器であれば丈夫で使いやすい日常茶飯器です。



漆器の使い方

漆器を手に入れた時は、普通なら漆器は乾いたものですから特に特別に神経質にならなくても平気なはずです。
洗うときは柔らかなスポンジや布で洗いましょう。
汚れは中性洗剤で洗い、水か湯でよく濯ぎましょう。
漆は塗り上がって漆器になって乾いた状態から、約半年ぐらいの間に、透けると言う現象がみれます。
とくに、木地が見える塗り方のスリ漆や拭き漆や、木地呂などは、塗りたては黒っぽく木地が見えなかったものが、だんだん漆が透明感を増していって、木目が見えてきます。これを透けるといっています。同時に漆の肌も塗りたては柔らかくこの期間でぐーんと締まり強くなります。
その意味では、半年は赤ちゃん扱いしていただけるといいと思います。たとえば椀などは、貝類の具を我慢して方が賢明です。貝の殻は固いので、箸でかき回しているうちに、運が悪いと欠けた貝の殻の部分などで、擦り傷を作りやすいことになります。
半年以降はだんだんと、塗膜面がしまってきますから、特に気にする必要がなくなってきます。
漆器は熱にも強いですし。使うとき、洗うときに硬いものと喧嘩しなければ、何の心配もありません。
 たとえば、金属の匙やフォークなどを使うことや、洗って“やきしめ”のざっくりしたやきものに重ねておいたりするのは、避けましょう。洗った後に良く拭けば色艶をどんどん増して行きます。
 仕舞い方は、とくに難しくはありません。使う頻度によっていろいろでしょう。
おみそ汁の椀などのように、毎日使うようなら、食器だなにそのまま他の食器と一緒にしまって良いと思います。ただ、重ねる時に出し入れでこすり傷が付かない工夫は必要でしょう。ザクザクした肌のやきものなど直ぐ隣でない方がいいですよね。日が射し込む食器棚も、紫外線に硬化していくので避けてください。
 長くしまうなら、和紙や柔らかい紙、または布で包んでしまいましょう。出し入れで落としたり傷が付くアクシデントがないように、箱に入れるのも優しい選択です。
仕舞う場所は、出来れば温室度の安定したところがよいでしょう。漆器は中身が木であることをイメージしておいてください。反ったり歪みそうな条件の所は避けてください基本的には、人がいられる場所なら、問題はありません。
 万が一、落としたりした事故で壊れたり、あるいは使っていて、何か故障が起きたときは、なるべく早く、手に入れたところや作り手に相談して、必要なら補修や修理をしてもらいましょう。全てが治るわけでも、元通りに修理出来るわけではないですし、補修後の色合いも、変わることもあるでしょう。それでも塗装の範囲なら、かなりの修復が可能です。手間のかかる仕事になることなので、内容によっては有料になるでしょうが、。その時はお使いになる方の、採算性や思い入れとの判断でしょう。


c. やきものと暮らす
やきもののなかでも特に陶器のお話をしましょう。一番やきもの特徴を備えていますし、扱いも理解と思いやりが必要です。ここでは、粉引きを例に取ってお話してみます。
ぼくの店で粉引きをお求めいただいた方へのご注意として、まとめたものをここに掲示しておきます。

「粉引」 KOHIKI
 粉引(こひき・こびき)という呼称は朝鮮半島より渡来した後に、粉を引いたような肌になぞらえてつけられたとか。(粉吹/こぶきともよばれた)それはさておき5世紀後の今日、和の器としてすっかり定着して大道にして基本といえるのは、使うほどに侘び寂びの味わいが深まるからでしょう。
 その秘密は、名に由来する粉引の元である白い土を化粧掛けしているからです。素地の上で釉薬の下にサンドウィッチされた白い化粧土の層が、素地や釉薬より柔らかく、きめが粗いので湯水がしみ込みやすいのです。そのため、使い込んでいただくほどに貫入(カンニュウ釉薬の微細なひび)や雨漏手(雨漏りで出来たシミに見立てて呼ばれる)といわれる表情が出ることがあります。ただ、これらの侘び寂びの変化はゆっくりと、永い年月とともにあらわれるものです。それには使い方としてのやさしさも必要です。茶道のお手前でもお茶を点てるはじめに碗に湯を注ぎ温めるとともに碗を湿らせ馴染ませます。これは形式では無く、お茶を美味しく飲んでいただく為と、碗を大切にする心が形になったひとつです。目の前のお客様に温かく美味しいお茶を飲んでいただくだけでなく、数年先、数十年先、あるいは数百年先のお客様に美味しくお茶を飲んでいただけるように心しているのです。私たちが素直に見習う心構えが、茶道のなかには沢山あります。
 焼き上がったやきものは、1200~1300℃の炎の中にあったのですから、ほとんど水分を含んでいない絶乾状態ですから、いきなり油やお醤油などをいれると後々まで残るほどしみ込んでしまうことがあります。それは臭いやカビの原因になることさえあります。特に粉引は変化しやすいので、おろしたてのうちは使う前にはお湯か水をくぐらすことを心がけましょう。これは、すべてのやきものにほしいやさしさですから習慣づけるようにして下さい。たとえ磁器のようによごれにくいやきのもでも、湯せんすると、コーヒーや紅茶のアクでも付きにくくなります。それに、温かさや冷たさもごちそうですから、温かな料理には器を温めて冷めにくくしたり、きりりと冷えた器で冷たい料理や飲み物を盛り付けるおもてなしをしましょう。
 粉引は、素地の上に化粧の土と釉薬と言う工合に三層になっていて、それぞれが違う素材のために、特に口の部分が堅い物の衝撃には弱いので注意しましょう。箸の食文化の日本でこそ成り立ちますが、ナイフやフォークには不向きです。洗って水切り籠に置く時にも、優しくして下さい。最近はステンレスの水切り籠が多く、ほとんどが針金状の組み合わせです。もし、ここにやきものの皿や碗を伏せて置く時に、すこしでも上から放すと、皿や碗と、細くて丸いステンレス線の当たる所は点になってしまいます。逆さにして考えてみれば、皿や碗の縁を、ナイフで垂直にたたくのと同じ位の衝撃なのです。急ぐ時、忙しい時こそ、洗い籠にふきんやタオルを一枚敷かれると良いでしょう。
器は、使うことではじめて生きて来ます。粉引に限らず陶器や大切なやきものの扱い方は、器への優しさが基本です。難しく考えずに自然になれ親しんで、器に沢山の出番をあげて下さい。使い込むほどに器が、どんどん色艶を増していくことでしょう。

d. ガラスと暮らす
ガラスの器は明治時代に、新しい技術が導入され。急速に暮らしの中に広がりました。はじめは使い方も食習慣やお酒と強い関わりを持っていましたが、いつの間にか和の器のガラス器が出来始めて、今やぼくらの暮らしのなかでは、和の器としても成立しています。これはぼくらの血にある、ある種の得意技だと思っています。文化風習食まで、全て和のテイストを上手くとけ込まして、時代時代の暮らしの中で違和感ないもののしていくのが得意な人種なのだと思います。液体のまま固まるという、ガラスの持つ独特の性質や、透明であるという素材感が、暑くて蒸す日本の夏に涼を呼ぶ器の代表として、なくてはならないものとなっています。
そんなガラスの使い方でいくつかの注意点を上げておきます。
1. 急激な熱変化に弱い。ただ、極端に熱に弱い訳ではないので、温めながら熱いものを入れたりする工夫で、暖かい飲料などを呑むこともできます。ただ、クリスタルは、理屈上は、温度が上がると熔解しやすい、素地に含まれている鉛が、身体によくないので、使い方としてはお勧めしません。
2. 湿気に弱い。ガラスは水に溶けるそうです。とはいえ、お砂糖や塩の用に溶けるのではなく、表面が微量に変化するようです。それで湿り気の多いところの長く放置すると、くもってしまい、磨いてもなかなかすっきりしなくなってしまいます。お酢やお酢を希釈した水などで拭かれるといくらか取れやすいようです。
3. 水道水には注意。水道水には塩素が消毒のために入っていますが、塩素は水に溶けにくく、いったん結晶になるとなかなかとれません。鉢などを花器に見立てて水を張っていて、夏や乾燥しやすい季節に水が蒸発すると、塩素がガラスの表面に、結晶化していまします。こうなると、水に溶けにくい塩素のために、洗ってもこすってもなかなあかおちません。この時には、塩素を溶かすクエン酸で処理するしかないと聞いています。ぼくはクエン酸の溶けた水の中に塩素の出た器を入れ、少し浸けおいてからこすりました。なかなか手強い汚れの一つですね。

e. 暮らしの中の晴れと褻
師走、クリスマス、正月と、これからは一年のうちでも晴れの場が多い季節になりますね。
晴れの場はそれ以外にも、節句や誕生日や記念日などいろいろありますが、何でもない日でも、おもてなしの気持ちを盛り上げれば、それは過ぎに晴れの場に。
対して普段の日々を褻(け)といいますが、普段ですが、こと器に関しては、晴れは良い器、褻はお粗末や良くない器という分け方では、心が寂しくなります。
晴れでも褻でも、同じ器であっても間違いではなく、むしろどちらにも使える器ならより良い器と考えても良いくらいだと思います。晴れと褻はむしろ、設える側の心のゆとりがまず大切なことだとそう思っております。また、器選びの極意として、品格のある器を選ぶお話をしましたが、まさに褻の器が晴れの器になりうると言う事があり得るのは、“品格”にあると思います。この点をクリアすれば、取り回しも、見立ても、取り合わせも、フランクにシンプルに褻のブランチのセッティングも、格調高く華やかに晴れの場を演出することも、器選びを楽しめることとおもいます。

甘庵

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テーマ:工芸 - ジャンル:学問・文化・芸術

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  • 2007/03/27(火) 20:30:18 |
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